私たちが高齢になると、人生の優先事項も変わり始めます。その中で特に注目すべきなのは、経済的な安定です。生命保険もその一環として見直しの対象になります。若い頃に契約した保険が、今の自分の生活状況に合っているかどうか、今一度確認することが大切です。生命保険の見直しをすることで、毎月の支出を減らし、生活にゆとりを持たせることができるかもしれません。
生命保険とは?
まず、生命保険について簡単に説明しましょう。生命保険は、自分が亡くなったり大きな病気になったりした際に、家族や自分自身に経済的なサポートを提供するためのものです。しかし、高齢になると、子どもたちは独立し、経済的に依存する家族がいなくなることも多いです。その場合、以前と同じ保険金額や種類の保険が必要かどうか、再評価することが重要です。
高齢者にとっての生命保険の役割の変化
高齢になると、生命保険の役割は変わります。若い頃は、残された家族を経済的に守ることが主な目的でした。しかし、高齢者の場合、家族よりも自分自身の介護費用や葬儀費用をカバーすることが優先されるようになります。これらの費用を確実にカバーするためには、適切な保険の見直しが必要です。
生命保険の見直しのタイミング
高齢者が生命保険を見直すべきタイミングは、定年退職や年金生活に入る頃です。このタイミングで、現在の保険が本当に必要かどうか、再評価することが大切です。以下に、生命保険を見直すべき理由とそのポイントを説明します。
子どもが独立している場合
もし子どもが既に独立していて、自分の収入で生活している場合、万が一自分が亡くなったとしても、家族の生活に大きな影響はないかもしれません。この場合、家族の生活を支えるための多額の死亡保険は必要ないかもしれません。必要以上に高い保険料を払っている可能性があるので、その分の保険を見直して、保険料を節約することができます。
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持病や健康状態の変化に応じた保険の選び方
高齢になると、持病が増えたり、健康状態が変わったりすることがあります。その際、以前契約した保険では十分にカバーできないこともあります。また、特定の病気に対する保険に加入することで、より自分に合った保障を受けられるようになります。健康状態に応じた保険の見直しを行うことが、節約にもつながります。
保険金額の見直し
現在の生活状況を考えると、昔契約した保険金額が高すぎる可能性があります。たとえば、住宅ローンがすでに完済している場合や、家族の経済的なサポートが必要ない場合、保険金額を減らすことができるかもしれません。保険金額を減らせば、毎月の保険料も削減できます。このように、必要な保険金額を見直すことは、無駄な出費を抑えるための重要なステップです。
定期保険と終身保険の選び方
生命保険には、主に「定期保険」と「終身保険」の2種類があります。定期保険は、一定の期間のみ保障が続くタイプの保険で、その期間が終わると保険は終了します。終身保険は、一生涯にわたって保障が続くため、いつ亡くなっても保険金が支払われます。
高齢者が生命保険を見直す際には、この2種類の保険のどちらが自分に適しているかを再評価することが重要です。たとえば、今後大きな出費が予想されない場合や、家族に経済的な負担をかける心配が少ない場合には、定期保険に切り替えることで保険料を大幅に節約できる可能性があります。
一方で、葬儀費用や終末医療費を確実に残したいと考えている場合には、終身保険の方が安心かもしれません。終身保険は、解約返戻金があるため、途中で解約する際にある程度の資金を手元に残すことも可能です。ただし、その分保険料が高くなるので、支出を抑えたい場合は注意が必要です。
保険の特約を見直す
生命保険には、さまざまな特約(オプション)が付けられることがあります。これらの特約は、病気やケガに対する追加の保障を提供しますが、保険料も上がります。高齢になると、必要な特約が変わってくるため、特約の内容を見直すことも重要です。
たとえば、すでに子どもが独立している場合、学資保険や収入保障保険など、子どもをサポートするための特約は不要になるかもしれません。また、重篤な病気や介護が必要になった際に役立つ「介護特約」などは、逆に高齢者にとって有益な場合もあります。このように、不要な特約を解約し、自分に必要な特約だけを残すことで、保険料を削減することができます。
解約返戻金の活用
終身保険や一部の保険には、解約返戻金が付いています。これは、保険を途中で解約した際に受け取れる金額のことです。高齢者にとって、この解約返戻金は重要な資産となることがあります。特に、今後の生活費や医療費の確保を考える場合、この返戻金を活用することで経済的に安定を保つことができるかもしれません。
解約返戻金を利用して、より低コストな保険に切り替えることも選択肢の一つです。たとえば、終身保険から定期保険に移行する際に、解約返戻金を利用して一部の保険料を支払うことができます。これにより、月々の負担が軽減され、将来的な経済的余裕を確保することができるのです。
ただし、解約返戻金は保険の種類や契約年数によって異なりますので、解約する前に慎重に計算し、比較検討することが重要です。時には、解約せずに保険を維持しつつ、特約を解約したり、保険金額を減らすだけでも十分な節約効果が得られる場合もあります。
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公的なサポート制度の活用
高齢者には、国や自治体から提供されるさまざまな公的サポート制度が用意されています。これらの制度をうまく活用することで、生命保険の保障を補完し、結果的に保険料を抑えることができるかもしれません。
たとえば、日本には国民健康保険や介護保険といった制度があります。これらの制度を使えば、高額な医療費や介護費用を一部カバーできるため、民間の医療保険や介護保険に多額の費用をかける必要がなくなります。また、障害年金や遺族年金といった年金制度も、家族の経済的なサポートとして活用できるので、それに応じて生命保険の内容を見直すことができます。
保険の比較サイトや専門家の利用
生命保険の見直しを行う際には、インターネット上の保険比較サイトを利用するのも一つの手です。最近では、保険料や保障内容を簡単に比較できるサイトが多くあります。これにより、自分に合った保険商品を見つけやすくなり、結果的に保険料を節約することが可能です。
また、ファイナンシャルプランナーや保険の専門家に相談することも有効です。自分では気づかないポイントを指摘してもらえる可能性があり、より的確な保険の見直しができます。特に高齢者にとっては、将来の医療費や介護費用についての不安があるため、それらに対応した最適な保険を見つけるためには専門家の助けが役立ちます。
自己貯蓄とのバランスを考える
生命保険の見直しを行う際、もう一つ大切な要素は自己貯蓄とのバランスです。保険に頼りすぎず、自己貯蓄をうまく活用することも、賢い節約術と言えます。たとえば、ある程度の貯蓄がある場合、高額な生命保険を必要としないかもしれません。
自己貯蓄がある程度しっかりしているなら、保険金額を抑えることで保険料を大幅に減らせます。逆に、貯蓄が少ない場合や、今後の医療費や介護費用に対する備えが不十分な場合は、保険の保障を手厚くする必要があるかもしれません。このように、保険と貯蓄のバランスを見極めることが、生活の質を保ちながら無駄な支出を防ぐための重要なポイントです。
また、家計全体の見直しも並行して行うことをおすすめします。たとえば、毎月の固定費や変動費をリスト化し、どこに無駄があるかを把握することで、保険以外の部分でも節約が可能になります。節約したお金を医療費や介護費用に回すことができれば、保険の保障内容を減らしても安心です。
一括払いのメリットを検討する
保険料は通常、月払いで支払われますが、一括払いに変更することで割引が適用されることがあります。特に長期間加入している保険では、一括払いによる保険料の節約効果が大きくなる場合があるので、一度検討してみる価値があります。
ただし、一括払いにするにはまとまった資金が必要です。そのため、貯蓄に余裕がある場合や、解約返戻金を利用して一括払いをするなどの工夫が必要です。また、一括払いにした場合は、その分の資金が動かせなくなるため、予測できない急な出費が発生するリスクも考慮し、慎重に判断しましょう。
生活状況の変化に応じた保険の見直し
高齢者にとって、年齢を重ねるごとに生活状況は変化していきます。健康状態の変化や、ライフスタイルの変化に伴い、必要な保障も変わってくるため、定期的に保険の見直しを行うことが重要です。年に一度、保険会社や専門家と相談して、自分の現在の状況に合った保険に更新することを心がけましょう。
たとえば、健康状態が良好な場合には、医療保険や介護保険の保障を最低限に抑えることができ、保険料を節約することが可能です。一方で、健康に不安がある場合や、将来の介護が心配な場合には、手厚い保障を準備しておくことが安心材料になるでしょう。
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50代からの生命保険の見直し 家族に残すための最適なプランとは
見直し後の生活におけるリスク管理
生命保険を見直して保険料を節約できたとしても、それによって得た余剰金をどのように活用するかも重要なポイントです。特に高齢者にとっては、医療費や介護費用など、今後のリスクに備えるための計画が必要です。
保険の全てを説明するには短い文章では限界があります。更に多くの知識をつけましょう。